宝塚歌劇団で過去何度も再演が繰り返されている『赤と黒』は、濃厚なラブシーンが盛り込まれたかつてない作品です。
初めての宝塚がこの作品だったら、きっと度肝を抜かされるのではないでしょうか。それもそのはず、初演当時は「宝塚らしくない!」と批判もあったんですよ。
そこで、今回は、宝塚史上最高のお色気シーンてんこ盛りの『赤と黒』について詳しく紹介します。
『赤と黒』のあらすじを紹介
『赤と黒』は、貧しい美青年のジュリアン・ソレルと町長のセレブ妻であるレナール夫人との不倫ものと言い切っていいです。ジュリアン・ソレルは立身出世を目指す野心家で、頭脳明晰・色気満載の青年。そんなジュリアン・ソレルはある日、司祭の紹介でラテン語の家庭教師として町長家庭を訪れます。そこで、レナール夫人と出会い、すぐにフォーリンラブ。束の間、秘密の恋に溺れますが、第三者による密告でレナール家を追放されてしまいます。
その後、ジュリアンは神学校に入学しますが、こちらもほどなく退学。次はラモール侯の秘書となり、令嬢マチルダと恋に落ちます。このままめでたく結婚かと思いきや、ラモール侯がジュリアンの身辺調査のためにレナール家に過去を問うと、夫人との不倫が発覚。レナール夫人による暴露手紙により結婚は白紙に戻されます。
出世の道が立たれたジュリアンは仕方なく帰郷するのですが、なんとそこでレナール夫人と再会。可愛さ余って憎さ百倍の感情が爆発し、とうとうジュリアンは銃を手にしてしまうのです。
『赤と黒』はフランス革命中の物語
ジュリアン・ソレルが生きた時代は、まさにフランス王政復古(1814年〜1830年)の時代と思われます。フランス革命によりブルボン朝の国王ルイ16世が断頭台に消え、その後、軍事独裁政権を確立したナポレオンも第六次対仏大同盟により打ち破られ、王政が復活しました。
相変わらず貴族が絶対的存在であった時代に生まれたジュリアン・ソレルはナポレオンに憧れていました。それは、ナポレオンが貴族でなくても実権を握るまでに成り上がったことが理由です。貧しい家柄に生まれたジュリアン・ソレルにとって学業だけが自分の地位を持ち上げてくれるアイテムだったのでしょうね。
ジュリアン・ソレルに恋心を抱く女性は3人
まずジュリアンに熱を上げたのはレナール家のお手伝いとして働くエルザです。身分的にはジュリアンとお似合いかと思いますが、ジュリアンはエルザには一切なびきません。野心家のジュリアンにとっては、物足らなかったのでしょうね。
その後、エルザとジュリアンの仲を取り持とうとしていたレナール夫人が、ジュリアンの虜になってしまいます。町長夫人というセレブなレナール夫人はジュリアンにとって野心をくすぐる存在だったはず。貪るようにレナール夫人と恋に落ちます。
レナール家を追放されたジュリアンが出会ったのは、ラモール侯の令嬢マチルダです。身分の低いジュリアンを見下すような態度に出るマチルダに、ジュリアンの征服欲がメラメラと燃え出します。まもなくジュリアンは狩りに成功。マチルダは妊娠してしまいます。
冷血でセクシーなジュリアンは、ぜひ自分の推しで観たいと思うはずですよ。
『赤と黒』のキャスト紹介
『赤と黒』に登場するキャストについて紹介します。あなたの推しが演じるとしたらどれがいいか想像、いや妄想しながらご覧ください。
ジュリアン・ソレル
貧しい家柄出身の美青年で、出世することに関しては人一倍執着している人物です。見た目の美しさと、ほぼ真顔の冷め切った表情にやられちゃう女性が後を絶たず、とにかくモテまくる人生を送ります。
エリザベートが自分の美貌を武器にしたように、ジュリアン・ソレルもやはり自分の美貌を武器に出世街道を突っ走ろうとしますが、ことあるごとに邪魔されてしまう運の無さもまたジュリアン・ソレルです。
濃厚なラブシーン中も常に冷めていて、喜んでいるのは女性だけって感じもものすごく魅力的です。
レナール夫人
世間知らずで、ひたすら人のいい美人セレブ妻です。貞淑な妻であり、3人の子ども達の良き母であったのに、ジュリアン・ソレルと出会ったばかりに運命が翻弄されてしまいます。
自分の気持ちにブレーキをかけている部分と、「もうどうなってもいい!」感が混在し、思い悶える姿はなんともセクシー。これを演じる娘役さんは、きっとターニングポイントを迎えるのではないでしょうか。
フーケ
ジュリアンの親友・フーケはただただ人柄がよく、こんな友達欲しい!って思える人です。ジュリアンが唯一心を許す存在で、本音が出せる友達なのでしょう。寡黙なジュリアンを饒舌にさせられるフーケは、実はジュリアンが人として一番愛した人物なのではないでしょうか。
コラゾフ公爵
こちらもいい人ですが、ジュリアンの恋の指南役ですので、ジュリアンにとってはいい人ですが、周辺の人にとってはどうなんでしょう?という感じの役柄です。ジュリアンに「物知り」と言わしめるほど、貴族のことを理解し尽くしている男性と言えるのかもしれません。
レナール氏
自分の体面ばかりを気にしている人なので、ジュリアンとレナール夫人が不倫関係になっていることにまったく気づきません。そんなだから奥さんに不倫されるのよ!と言いたくなる感じの男性です。年齢は50歳くらいで、女を見下している感じがなんとも不快。色気もなけりゃ、思いやりもないしょーもない男性です。
デルヴィル夫人
レナール夫人の親友。ジュリアンに警戒心を抱き、レナール夫人から遠ざけようとします。レナール夫人にも、何度も「あなたの家の家庭教師君は信頼できない」と忠告しますが、結局はレナール夫人の燃え上がる恋心を止めることはできませんでした。
エリザ
若く可愛らしいエリザですが、お手伝いという身分のためにジュリアンの注意を引けずにいる可哀想な女性です。レナール夫人に相談しますが、実はレナール夫人は恋敵だったなんて、その後のエリザがどんな恋愛をするようになるか心配になってしまいます。最終的にはジュリアンを憎むようになります。
ラモール侯爵
パリで権力を持つお金持ち。貴族であり、大臣の座を狙う野心家です。ジュリアンの実力を高く買っていて、重用します。気位の高い部分もありますが、気さくで憎めない性格です。
マチルダ
ラモール侯爵の愛娘。侯爵令嬢で絶世の美貌、かつ才女とあって高慢な性格になってしまうのもうなづけます。そのルックスと性格がジュリアンの男心に火をつけてしまい、ジュリアンの子どもを身籠ります。
『赤と黒』の歴代キャストは?
役柄のイメージがわかったところで、歴代キャストをチェックしましょう。あなたにとってのジュリアン・ソレルは誰が一番ピッタリですか?
1957年・花組公演(宝塚)
- ジュリアン・ソレル:寿美花代
- レナール夫人:淀かほる
- マチルド:鳳八千代
- レナール氏:神代錦
- ラモール侯:美吉佐久子
往年の大スター揃いですね。寿美花代さんは今や高嶋政宏さん・高嶋政伸さんのお母様で有名です。当時はどんなラブシーンだったのか、観てみたかったですね。
1975年・月組公演(宝塚・東京)
- ジュリアン・ソレル:大滝子
- レナール夫人:舞小雪
- マチルド:小松美保
- フーケ:瀬戸内美八
- コラゾフ侯爵:藤城潤
- レナール氏:天城月江
- エリザ:北原千琴・風かおる
- ラモール侯:美吉佐久子・藤城潤
エリザとラモール侯はダブルキャストだったんですね。北原千琴さんはとっても可愛らしい娘役さんだったんですよ。
1989年・月組公演(バウ・青年館)
- ジュリアン・ソレル:涼風真世
- レナール夫人:朝凪鈴
- マチルド:羽根知里
- フーケ:天海祐希
- コラゾフ侯爵:久世星佳
- レナール氏:未沙のえる
- エリザ:麻乃佳世
- ラモール侯:愛川麻貴
個人的には一番観たい公演です。涼風真世さんは可愛らしい男役さんでしたが、冷血さもありました。朝凪鈴さんは当時涼風真世さんと組むことが多く、そのままトップ娘役になるかと思いましたが、まさかの退団。麻乃佳世さんがトップ娘役になっています。
涼風真世さんの現役時代についてはこちらの記事をご覧ください。↓
興味のある方はDVDが発売されていますので、ぜひ!↓
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2008年・星組公演(梅芸・青年館・愛知)
- ジュリアン・ソレル:安蘭けい
- レナール夫人:遠野あすか
- マチルド:夢咲ねね
- フーケ:柚希礼音
- コラゾフ侯爵:柚希礼音
- レナール氏:立樹遥
- エリザ:稀鳥まりや
- ラモール侯:萬あきら
安蘭けいさんがすでに退団を発表してからの公演だったため、チケットはかなり入手困難でした。それだけに一見の価値あり!ですね。柚希礼音さんがフーケ・コラゾフ侯爵の両方を演じています。この年代になるとご覧になった方も多いのではないでしょうか。
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2020年・月組公演(御園座)
- ジュリアン・ソレル:珠城りょう
- レナール夫人:美園さくら
- マチルド:天紫珠李
- フーケ:月城かなと
- コラゾフ侯爵:月城かなと
- レナール氏:輝月ゆうま
- エリザ:きよら羽龍
- ラモール侯:一樹千尋
珠城りょうさんの男役はリアリティがあって、そんな方が演じるジュリアン・ソレルには本当にドキドキしました。美園さくらさんの品の良さもセレブ妻にぴったりで素晴らしかったです。月城かなとさんのイケメン友人役もハマってましたね!
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2023年・星組公演(梅芸・青年館)
- ジュリアン・ソレル:礼真琴
- ジェロニモ:暁千星
- レナール夫人:小桜ほのか
- マチルド:有紗瞳
- レナール氏:ひろ香祐
- エリザ:詩ちづる
2023年星組公演は執筆現在(2023年2月1日)その他のキャストが未発表です。発表され次第更新したいと思います。
こちらはタイトルも『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』となっており、令和版『赤と黒』への期待感が高まります。
チラシも宝塚歌劇団公式HPに掲載中ですので、興味のある方はご覧ください。
礼真琴さんのジュリアン・ソレルは本当に楽しみです。礼真琴さんの魅力についてはこちらの記事をご覧ください↓
また、暁千星さんは最近メキメキと男役っぷりが上がっているジェンヌさんです。玲誠さんに負けず劣らずルックスのいい方ですので、舞台がより華やかになること間違いなしです。
暁千星さんの魅力についてはこちらの記事をご覧ください↓
『赤と黒』の見どころはコレ!
これから『赤と黒』をご覧になる方のために、見どころポイントをお伝えします。ここを押さえて観ると、さらに作品が楽しめますよ!参考にしてくださいね。
男らしさとむき出しの野心
『赤と黒』は、初演当時は宝塚らしくないと批判されたほど、濃厚ラブシーンと野心むき出しの男性が描かれている作品です。特にジュリアンが自分の欲望を満たすために、あれこれ試行錯誤するのは見もの。明らかに男性目線で描かれた作品と言えます。
歴代のジュリアン・ソレルは線の細い男役さんが演じていますが、今回礼真琴さんはどのようなジュリアン・ソレルを演じるのでしょうね。
ドキドキするような濃厚ラブシーン
『赤と黒』の見どころは、濃厚ラブシーンに尽きると思います。女性の身体をまさぐるようにジュリアンの手が動く様子は、観ていて本当にドキドキします。女性同士で演じていることを忘れてしまいそう…。
特に珠城りょうさんは身体もがっしりと大きくて、男役としてのクオリティ高すぎました。
フィナーレの黒燕尾がヤバい!
2020年の御園座のフィナーレでは、男役が黒燕尾で総踊りをしたそうですが、それが2023年の星組でも叶えばかなりヤバいです。私は、星組の男役総踊りのシンクロ率は宝塚で1番だと思っています。なので、これは絶対に観たいところですね。
これまた宝塚No.1のダンサーである暁千星さんも加わっていることですし、ぜひ燕尾服の総踊り、期待しています!
2023年星組公演・劇場情報
2023年の星組公演は梅田芸術劇場シアター・ドラマシティと日本青年館ホールで上演されます。ここでは、座席情報やアクセス情報などを紹介します。
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ情報
場 所 | 〒160-0013 東京都新宿区霞ヶ丘町4-1 |
電話番号 | 03-6447-5660 |
アクセス | 阪急電車 「大阪梅田駅」茶屋町口より徒歩3分 地下鉄(Osaka Metro) 御堂筋線「梅田駅」1号出口より徒歩5分 御堂筋線「中津駅」4号出口より徒歩5分 谷町線「東梅田駅」1号出口より徒歩7分 四つ橋線「西梅田駅」3号出口より徒歩11分 JR線 「大阪駅」御堂筋北口より徒歩8分 阪神電車 「大阪梅田駅」東出口より徒歩10分 |
座席数 | 898席(オーケストラピット使用時は90席減) |
日本青年館ホール
場 所 | 〒160-0013 東京都新宿区霞ヶ丘町4-1 |
電話番号 | 03-6447-5660 |
アクセス | 東京メトロ銀座線 外苑前駅2b出口神宮球場方面より徒歩5分 都営大江戸線 御堂筋線「梅田駅」1号出口より徒歩5分 国立競技場駅A2番出口より徒歩10分 中央・総武線(各停) 千駄ヶ谷駅より徒歩12分 中央・総武線(各停) 信濃町駅より徒歩12分 |
座席数 | 1,249席 |
まとめ
宝塚歌劇団としては異色の作品である『赤と黒』は再演に再演を重ねているほど人気があります。
そんな『赤と黒』が2023年、礼真琴さん率いる星組で再演が決定しました。今からチケット争奪戦が予想されますが、オンライン配信にも期待が高まります。さらにはDVD化も待ち遠しいですね。
あなたは誰が演じるジュリアン・ソレルに惹かれますか?