NHKの朝の連続、テレビドラマ小説「ブギウギ」で、花咲歌劇団と言う女性ばかりの劇団が登場します。
あれってもしかして宝塚がモデル?
と、思っている方も多いのではないでしょうか。あれは宝塚歌劇団がモデルになっているのではなく、OSK日本歌劇団なんですね!
さて、ここからが本題。OSK日本歌劇団と宝塚はどちらも女性のみの劇団です。この2つ、違いは何かわかりますか?
今回は、OSK日本歌劇団と宝塚歌劇団の違いを徹底分析します。ぜひ、最後までお読みください。
※本記事には、個人的な意見が多く含まれています。反論・意見などは一切受け付けておりませんので、ご了承ください。
OSK日本歌劇団と宝塚の違いは?
OSK日本歌劇団と宝塚歌劇団は、女性ばかりの歌劇団といった共通点があります。しかし、拠点地や歴史、親会社などは異なりますので、ここで紹介いたします。
OSK日本歌劇団
- 拠点地:大阪府大阪市
- 拠点劇場:大阪松竹座・京都南座
その他にも、東京の日本青年館や名古屋でも公演を実施。志摩スペイン村でのパレードや近鉄球団のチアガールのハーフショーなども担当しています。
親会社
- 親会社:株式会社OSK日本歌劇団
OSK日本歌劇団は、1911年に近鉄の傘下となりましたが、2003年5月に近鉄が支援を打ち切り。実質上の解散が決定しました。その後OSKの存続をかけて、株式会社日本歌劇団と名前を変更。株主にはITコンサルティングを手掛けるネクストウェア株式会社が参入しています。
概要
未婚の女性だけで構成される劇団で、象徴とされる花は「桜」です。歌劇団のテーマソングは「桜咲く国」で、ファンクラブの名称も「桜の会」と名付けられています。まさに、日本を代表する少女歌劇団にふさわしいネーミングですよね!
団員の正装は、桜色の着物と緑の袴が指定されており、徹底して「桜」が使用されています。ダンスのOSKと呼ばれるあって、ダンスシーンは圧巻。男役だけ、娘役だけで構成されるダンスシーンもあり、見どころ満載です。さらに、ラインダンスは特徴的で、とにかく高速。足の角度やジャンプの高さなどシンクロ性の高さには、きっと驚くはずです。
歴史
- 創立日:1922年
- 2023年に100周年を迎える
OSK日本歌劇団は、令和5年に100周年を迎えました。2022年9月11日・12日に大阪市中央公会堂で100周年記念コンサートを開催。関西フィルハーモニー管弦楽団が共演し、大盛況のうち幕を閉じました。
宝塚歌劇団
- 拠点地:兵庫県宝塚市
- 拠点劇場:宝塚大劇場・宝塚バウホール・東京宝塚劇場
その他は、梅田芸術劇場やシアター、ドラマシティ・ TBS赤坂ACDシアター・ KAAT神奈川芸術劇場・博多座などでも公演を行っています。
親会社
- 阪急阪神ホールディングス
概要
阪神阪急東宝グループのエンターテイメント・コミュニケーション事業として運営されている歌劇団です。未婚の女性のみで構成されており、劇団員は、花・月・雪・星・宙組と専科で約80名ほどずつ組み分けされています。
※専科は15名です。
「老若男女誰もが楽しめる国民劇」として、日本で初めてレビューを上演した劇団として一躍有名になりました。その後は、1974年上演の「ベルサイユのばら」で一世を風靡。社会現象をも引き起こした大ヒット作品を生み出しています。
現在は、2023年9月30日に宙組劇団員の自殺により、宝塚歌劇団の真価が問われる過渡期を迎えており、遺族への誠実な対応・劇団の大幅な業務改善が行われるのかどうかに注目が集まっています。
歴史
- 創立日:1914年
- 2024年に110周年を迎える
2024年は、大阪万博開催年でもあり、何人かの生徒がアンバサダーに就任しています。110周年の主な記念公演としては、宝塚歌劇100周年記念式典宝塚スペシャル2024 ・宝塚歌劇110周年記念大運動会等が予定されています。その他にも、宝塚クリエイティブアーツが送るスペシャルイベントがインターネット上で開催されます。
OSKは宝塚のパクリ?
OSKは、宝塚歌劇団・松竹歌劇団と並び、日本三大歌劇団に含まれています。いずれの歌劇団も未婚の女性のみで構成されているため、似通ってしまうのは仕方がないのかもしれません。ここでは、OSK日本歌劇団と宝塚歌劇団の組構成やスターシステム、公演の構成について紹介します。
組構成
OSK日本歌劇団
- 組構成:組み分けはありません。
- 団員数:52名(2023年10月現在)
宝塚歌劇団
- 組構成:花組・月組・雪組・星組・空組・専科
- 団員数:246名(2023年2月現在)
スターシステム
OSK日本歌劇団
- 男役トップスター:楊琳(やんりん)
- 娘役トップスター:舞美りら
(2023年10月現在)
宝塚歌劇団
- 花組:柚香光・星風まどか
- 月組:月城かなと・海乃美月
- 雪組:彩風咲奈・夢白あや
- 星組:礼真琴・舞空瞳
- 宙組:芹香斗亜・春乃さくら
(2023年10月現在)
※宝塚歌劇団には、2番手・3番手といったポジションがあります。
演目
OSK日本歌劇団
- レビュー中心
宝塚歌劇団
- お芝居
- ショー
※宝塚歌劇団オリジナルの作品はもちろん、海外作品やアニメを原作とした宝塚版作品も上演されます。トップスター退団時は、本公演終了後にサヨナラショーが開催されます。
OSKは宝塚のパクリ?2劇団の大きな違いは「伝統vs先進のリスク管理術」にあり!
歴史から見ると、宝塚歌劇団が2023年に110周年を迎え、OSKは2022年に100周年を迎えたと考えると、宝塚歌劇団の方が一歩先の先輩です。OSK日本歌劇団を創立し、女性のみの歌劇団を作るにあたっては、宝塚歌劇団から舞踏家や作曲家を招聘(しょうへい)しています。その点から考えると、宝塚歌劇団を模倣して作った歌劇団といえるかもしれません。
また、宝塚歌劇団の「モンパリ」の大ヒットを受けて、OSK日本歌劇団では、それまで日本舞踊中心だった演目を1928年の「春のおどり」からレビュー形式に変更。OSK日本歌劇団が宝塚のパクリ?と思われるのはこの辺りの歴史が由来しているのかもしれませんね。
しかし、現在のOSK日本歌劇団の強みは、なんといってもITコンサルティングの手法を取り入れた団員配置や公演回数の設定法にあります。 ITコンサルティング手法は、リスク評価や管理に焦点を当てています。宝塚歌劇団との大きな違いはこの点です。
問題になっている過重労働に関しても、データに基づく分析や定量的処方が重要視されたITコンサルティングを取り入れているOSKでは、適切な講演会数の設定ができるため、リスクの軽減が期待できます。したがって、劇団員はスキルや専門性を効率的に高められ、舞台技術の向上遂行が可能になります。
OSKは宝塚の滑り止め?
宝塚歌劇団は、合格倍率20倍前後の狭き門の学校として知られています。一方、OSKは全国的に知名度があるわけではなく、宝塚の滑り止め的な立ち位置と認識している方も多いのではないでしょうか。ここではそれぞれの養成学校について紹介します。
養成所の受験資格
OSK日本歌劇団
名称:OSK日本歌劇団研修所
- 年齢:15歳〜23歳未満の未婚女性
- 身長:158センチ以上
- 試験:ダンス・動作・声楽・面接
- 受験料:1万円
- 定員:10名
宝塚歌劇団
名称:宝塚音楽学校
- 年齢:中学卒業〜高校卒業、または在学中
- 身長:特に制限なし
- 試験:1次試は面接、2次試験は面接・歌唱・舞踊、3次試験は面接・健康診断
- 受験料:1次試験・1万円 2次試験・2万円(3次試験を含む)
- 定員:40名
合格倍率
OSK日本歌劇団
- 合格倍率:近年は定員の20名に達していないため不明
宝塚歌劇団
- 15.3倍(2023年度)
※2023年度は、コロナの影響で若干通年よりも低い倍率となりましたが、通常は20倍前後と狭き門です。
受験日
OSK日本歌劇団
- 8月・12月・2月・4月の4回実施(いずれか1回を受験)
宝塚歌劇団
- 1次試験:3月中旬頃
- 2次試験:3月23日前後
- 3次試験:3月26日前後
※合格発表は、3次試験の翌日です。
滑り止めのイメージは確かにある!しかし…
確かに、関西住みの私にとってはOSK日本歌劇団は宝塚音楽学校の滑り止め的イメージがあります。現に、宝塚を不合格になった友人が何人もOSKに入ったケースも見てきました。しかし、「滑り止めだから?」という感じでしょうか。結局は「マインド」の問題だと思います(笑)
まとめ
知名度の点では宝塚歌劇団の方が圧倒的に上です。しかし、劇団員を守る体制は、OSK日本歌劇団の方がお話にならないくらい上だと感じました。リスク管理の徹底と効率的な団員配置・適切な公演回数の設定は、今や当然なのだと宝塚歌劇団はOSK日本歌劇団に学ぶべきでしょう。
伝統は確かに大切ですし、一般的な企業と芸能を同レベルで考えてはいけないというのも分かりますが。しかし、宝塚歌劇団はあくまでも阪神阪急東宝グループのエンターテイメント事業部です。つまり、一般企業の一部。雇用契約の形にも疑問がありますし、過重労働を課していても見てみぬふり?いや、上層部は「知らなかった」というのは言い訳にならないのではないでしょうか。