2022年の最後を飾る宝塚大劇場・星組公演『ディミトリ〜曙光に散る紫の花』を観劇しました。地方住みの私は村に行くことは叶わず、今回もライブ配信にて拝見しました。千秋楽のライブ配信ということで、すでにたくさんの方がご覧になっていると思いますが、今回は私なりの感想を述べたいと思います。
ネタバレも含みますので、まだご覧になっていない方はこれから先は閲覧注意です。自己責任でパッションしてください(笑)
運命に翻弄され幸せになれない二人
今回お芝居の『ディミトリ〜曙光に散る紫の花』は、東ヨーロッパにあるコーカサス山脈の南麓あたり、黒海の東岸にあるジョージア国が舞台です。都市はトビリシです。とっても美しい都市だそうで、舞台でもリラの花が印象的に描かれています。
今回のお話はそんな美しいトビリシを舞台にした悲恋です。侵略と戦争が繰り返されている不安定な時代。政治の犠牲になる人はたくさんいました。礼真琴さん扮するディミトリもその一人です。ディミトリはルーム・セルジュークの第4皇子として生まれ、ジョージア国へは人質としてやってきます。
そしてジョージア国の王女、舞空瞳さん扮するルスダンと出会います。お互い一目惚れだった二人は、恋をするにはあまりに幼くて、自分の気持ちを伝えられないまま大人になってしまいます。人質と王女ですから、仕方がないことですよね。
ルスダンは他国へお嫁に行くことが決まっていて、二人の運命はこれまでかと思った時に、運命の歯車が動き出します。当時ジョージア国の国王・ギオルギ(ルスダンの兄)が戦争で重傷を負ってしまいます。死を覚悟したギオルギはルスダンに女王を継承することを命じ、同時にディミトリとの結婚も決めてしまったのです。
と、まぁあらすじをダラダラ書いても仕方ないので、ここからは星組メンバーの感想をお伝えします。
おどおどする礼真琴氏に胸キュン!
宝塚歌劇団の中ではすでにベテランのトップスターさんで、堂々とした演技が好評の礼真琴さん。そろそろ退団発表があるのではないかと恐々としますが、来年は大作も決まっています。しばらくは星組トップの座に君臨してもらえるものと期待しております。
さて、今回のディミトリ役ですが、私なりの見解を述べさせていただきます。
短いセリフが絶妙!
今回のディミトリは外国からの人質という役柄で、どことなくおどおど感があります。私個人としては、『ロミオとジュリエット』『モーツァルト』に次ぐ、なんとなく心許ない役を演じている礼真琴氏が大好きです。
礼真琴氏の「え?」「はぁ」「いやっ!」などの短い台詞は絶妙で、ものすごくリアリティを感じてしまいます。今回のディミトリにもこの手の短いセリフがいくつかあり、見ていてキュンキュンが止まりませんでした。自分で自分の背中を無理やり押して行動するような役柄は本当にハマり役だと思います。
小さい身体に溢れる包容力が全開に
礼真琴氏ってあんまり背の高い男役さんではありません。公式で発表させている身長は170cmというから、はっきり言って小柄です。なのに包容力がハンパないです。世の男性には、ぜひ見習ってほしいというか…。それくらい大きさを感じます。
そんな礼真琴氏も、今回は王配とはいえ政治に関与できない頼りない男性を演じています。話の途中までは「え、ヒモやん」って思わせるくらい、日陰の身に徹している男性です。どちらかというとルスダンの方が男気があります。
ところが一度「ルスダンのために立ち上がるぞ!」と決めた時の礼真琴氏の表情は、本当にカッコいいです。今日初めて大劇場で礼真琴氏を観た方はファンになったのではないでしょうか。
圧倒的な歌唱力
礼真琴氏といえば歌唱力です。今回の公演でもかなり素敵な曲がたくさんあって、綺麗な声で語るように歌っていらっしゃいます。ライブ配信で一回しか観ていないので、曲のイメージはぼんやりとしか残っていませんが、それでも礼真琴氏の歌声には感動しっぱなしでした。
歴代の男役さんでいうと涼風真世さんがものすんごく歌が上手でした。演出家の先生が聞き惚れたという話も残っているくらいです。
涼風真世さんについてはこちらの記事をどうぞ↓
一度、FNS歌謡祭なんかに出演して、その美声を世に知らしめてほしいです。
星組の顔面偏差値を一気に上げた暁千星氏
顔ばっかり褒めて、演技を褒めないわけではありません。でも、暁千星氏の顔は誉めずにはいられないので、まず最初に申し上げておきます。画面を見ていても「はぁ〜イケメン!」とため息が出ます。ベビーフェイスなのに背がめっちゃ高いというのもポイント高いです。
月組から星組へ組み替えとなり、ファンの間では心配が尽きなかったと思います。しかし、あの顔面で可愛がられないわけがない!案の定、すっかり馴染んでいるように見えます。知らんけど…。でも、月組よりも同期の数が多いのでは?とも思うので、おそらく馴染んでいるはずです。
暁千星氏が星組に組み替えになった当時の気持ちを書いてます。よかったら読んでください↓
ベビーフェイスなのに髭がドンピシャ!
今回の役どころは、ジョージア王国の副宰相です。忠誠心から外国人であるディミトリにはいろいろと疑念を抱き、ついには殺人を犯すようにまで仕向けてしまいます。冷血な男性で、言い放つような物言いがたまらなく素敵でした。
とにかく目線が素敵なんです。立ち去りぎわにチラッと相手を見る感じにやられちゃいました。月組最後となった『ブエノスアイレスの風』でも、かなり大人の男性になったな〜と思いましたが、今思えばまだ力が入っていました。でも今回は、めちゃ自然。大人の男性を演じているのではなく、暁千星氏が大人の男性なんです。素晴らしかったです。
声、伸びるのね…
暁千星氏といえば、ダンスです。際立ってます。誰も横で踊りたくないだろうな〜と思ってました。でも、歌唱力も素晴らしいです。今年、組み替えのタイミングでスカイステージの特番で、柚希礼音氏とコラボされていた時、暁千星さんの声の伸びの良さに驚いたのを思い出しました。
今回のお芝居でも高音の伸びが素晴らしくて、もっと聴いていたいと思ってしまいました。星組は暁千星氏が加わったことで、他組を圧倒しているのではないかと思います。皆さんはいかが思われますか?
目はカラコン?まさかね…
暁千星氏は瞳の色が非常に綺麗なのをご存知ですか?いつも「カラコンしてる?」って思うんですけど、そんな訳ありません。カラコンしてたら不自然だし、1発で分かります。暁千星氏の瞳の色は、なんというかグレー?っぽいんです。
さらに、瞳が光を拾いやすいのかキラキラしています。あの目って娘役さんはどう思っているのでしょうか。酔ってしまいませんか?と聞いてみたいです。特に今回の芝居で言うと、ディミトリが怪しい!とルスダンに何度も詰め寄るシーンが印象的でした。
盆の上に建てられたお城のセットの上で、ルスダンが真っ直ぐ客席を見ていて、暁千星氏演じるアヴァクがそのルスダンの横顔をじっと見ているところです。あれ、私だったら正気を保てません。宝塚の娘役さんはあんな視線に慣れてるんですかっ!って聞いてみたいと思いました。
出番少なっ!極美慎の使い方が贅沢すぎる
今回の公演は、星組の御曹司・極美慎氏がまさかの”奴隷”という衝撃的な配役で、驚いた方も多いのではないでしょうか。しかもアヴァクにいいように使われて、殺されるなんてなんという勿体無い使い方…。極美慎氏自身はどう思っているか分かりませんが、私は「これめっちゃ美味しい役やん!」って思いました。美形で奴隷なんて、年上のおばさまたちが泣いて喜ぶ設定です。貢ぎ案件ですね。
イケメンは生命力たくましいより儚い方が絶対に心奪われます。今回の極美慎氏の役はまさにそんな役どころです。女王の足元に乞うように平伏す感じも素晴らしかったです。で、あっさり礼真琴氏演じるディミトリに殺されてしまい、ファンはただひたすらに舞台上に寝転んでる極美慎氏を見ることになるのです。
芝居で見足りない状態を作って、ショーでたっぷり魅せる!今回の公演でファンが一気に増えることでしょう。う〜〜ん、下克上の予感もしますが、私は暁千星担なのでそこは譲れませんぞ。
まとめ
『ディミトリ〜曙光に散る紫の花』は、見応えのある作品でした。これから東京公演も控えていますし、ますます熟成されていくことでしょう。とはいえ、ファンの間ではまだ2番手がはっきりせず、もどかしい状態が続いています。瀬央ゆりあ氏・暁千星氏のどちらも譲れない心境でしょう。なんとなく極美慎氏も2番手争いに参戦しそうで、暁ファンとしては心穏やかではないです。皆さんはどんな感想をお持ちですか?