宝塚歌劇団といえば、華やかな舞台で観客を魅了するトップスターの存在は欠かせません。煌びやかな衣装を身に纏い、舞台の中央で輝きを放つ姿は、まさに「夢の座」を体現する存在であり、誰がトップスターになるのかは常に注目の的です。
トップスターの決め方は、劇団による決定とはいえ、ファンの間では、新人公演や別箱公演での活躍から、未来のトップスター候補を予想したり、その成長を見守る楽しみ方もあります。
この記事では、宝塚トップスターの決め方や組替えの意味、トップ娘役との関係性について紹介します。
宝塚トップスターになるには? – 劇団が求める条件と選考基準
宝塚歌劇団のトップスターは、劇団側(組長、演出家、管理職など)が決定します。 明確なルールや条件は存在しませんが、過去のトップスターの経歴から、選考基準における一定の傾向が把握できます。
宝塚トップスター選考基準
- 実力: 歌唱力・演技力・ダンス・容姿などの基本的な能力は必須条件です。 さらに、スター性やカリスマ性、男役としての魅力や華やかさも重要な要素だといわれています。
- 経験: 男役として豊富な経験値も重視され、特に新人公演・宝塚バウホール公演・東上公演の3つの舞台で主演を務めた経験は重要視されます。
- 新人公演は、入団7年目以下の新人だけで構成された本公演と同じ演目であり、生徒の成長を測る重要な場となっています。
- 宝塚バウホール公演は、宝塚大劇場に隣接する小規模な劇場であるバウホールで行われる公演で、若手スターが中心となり、カンパニーの座長を務める経験を積むことができます。
- 東上公演は、関西・関東の各劇で上演される公演で、宝塚を離れても集客できる実力を示す必要があります。
- 人間性: 「責任感」「統率力」「人柄」など、トップスターにふさわしい人間性も評価対象となります。
加えて、組の持ち味を引き出しつつ、自身の個性を磨いた生徒こそが唯一無二の存在感を放つトップスターとなるわけです。
宝塚トップスター就任までの道のり
トップスター就任までの道のりは、平均で約12〜15年と言われています。 最短で7年でトップスターになった天海祐希さん、最長で18年かかった北翔海莉さんの例があります。
新人公演・バウホール公演・東上公演での主演を経て、組内のポジションを上げていくのが一般的な道のり。 最終的に、劇団がトップスターにふさわしいと判断した人物が、トップスターに決定となります。
宝塚トップスターの決め方- 新人公演から就任までの軌跡
新人公演・バウホール公演・東上公演での主演経験は、トップスター候補生にとって重要なステップアップの機会です。 3つの公演は、将来のトップスター候補生としての実力を試される登竜門といえます。
ここでは、各公演の特徴をまとめます。組替えについても触れますので、ぜひご覧ください。
各公演の特徴と役割
- 新人公演:本公演と同じ演目を、入団7年目以下の新人だけで構成し、上演する公演です。 宝塚の生徒にとって成長を評価される重要な場であり、主演への抜擢は、将来のトップスター候補生として期待されている証といえます。
- バウホール公演:宝塚大劇場に隣接する小規模な劇場「バウホール」で行われる公演です。 主に若手スターが中心となり、公演規模は小さいながらも、1つのカンパニーの座長を務める経験が積めます。
多くのトップスターがバウホール公演での主演経験を通して、組織をまとめ上げる力や責任感を養ってきました。 - 東上公演:関西・関東の各劇場で上演される公演です。 バウホール公演で主演を務めた後、さらに大きな劇場に進出し、主演を務めることを「東上(とうじょう)」と呼びます。
東上公演の成功は、宝塚を離れても集客できる実力を持っていると認められるため、トップスターになるための重要な条件となっています。
宝塚トップスター候補生の登竜門としての位置づけ
上記3つの公演での主演は、トップスター候補生としての実力を試されるだけでなく、「立ち振る舞い」「組織をまとめ上げる力」「主演としての集客力」「技術力」など、さまざまな面で成長できる貴重な機会が与えられるわけです。
3公演での経験を通して、スターとしての資質を磨き、劇団やファンからの信頼を得ていくことが、トップスターへの道のりといえます。
組替えによる宝塚トップスター昇格
組替えとは、各組の「人気」や「実力」を均等化するために行われる、学校のクラス替えに似たシステムです。 組替えによって、これまで2番手、3番手だった人が、組替え先の組でトップスターに昇格するチャンスが生まれるケースも少なくありません。 実際に、真飛聖さん、蘭寿とむさん、明日海りおさんのように、組替えを経てトップスターになったケースも存在します。
組替えは、トップスターへの近道となる可能性を秘めている一方で、慣れ親しんだ仲間と離れ離れになる側面も持ち合わせています。しかし、生徒によっては、組替え先で今まで隠れていた才能が開花し、存在感が増す場合もあります。
宝塚トップスターとトップ娘役の関係 – 組の顔となる二人三脚
宝塚歌劇団において、トップスターは組の顔として君臨し、その傍らには常にトップ娘役の存在が欠かせません。両者の関係は、組の象徴として観客を魅了する、まさに二人三脚の道のりといえます。
トップ娘役の選出においても、トップスターと同様に、新人公演・バウホール公演・東上公演での活躍が重要な評価基準となります。 3公演での経験を通して、舞台人としての技術や経験を積むだけでなく、劇団やファンからの注目を集めることが、トップ娘役への道を開く鍵となります。
しかし、トップ娘役の役割は、単に舞台上で輝くだけではありません。トップスターを支え、その魅力を最大限に引き出すことも重要な使命です。特に、トップスターとの相性の良さは、選考過程において非常に重視されます。
例えば、「ダンスが上手なトップスター」には、「歌が上手いトップ娘役」を組み合わせるなど、技術面での補完関係を考慮し、舞台全体をより魅力的になるとの考えもあります。 トップスターとトップ娘役の相乗効果が、舞台に更なる輝きを与え、観客を魅了する原動力となるのです。
宝塚トップスターの任期 – 劇団との契約とスターシステム
トップスターの任期は、劇団と生徒個人との契約によって決定されます。 明確なルールはありませんが、近年はスターシステムの確立により、任期が約3年(本公演5作程度)が目安となっています。 これは、かつてのように10年近くトップスターを務めるケースが減り、より短期間で交代する傾向を示しています。
任期決定には、劇団側の意向も大きく影響します。 次期トップスターの育成状況や公演スケジュールの調整なども考慮する必要があり、少なくとも1年間の引き継ぎ期間を設けるのが通例です。 トップスターの任期は、劇団全体の公演スケジュールに影響を与えるケースも少なくありません。
特に、次期トップスター候補の育成が順調に進んでいる場合、現トップスターの任期が短縮されるケースも考えられます。 劇団としては、スターシステムを円滑に運用し、常に新鮮な魅力を舞台に提供するため、個々のスターの状況を見極めながら、柔軟に任期を調整しているといえます。
宝塚トップスターの決め方のまとめ
宝塚歌劇団のトップスターは、各組の顔として高い舞台技術と人間性が求められます。選考には新人公演やバウホール公演での実績が重要で、約3〜5年の任期が目安とされています。トップスターはトップ娘役とともに組を代表し、互いに高め合う関係が求められます。各組の魅力を引き出すための重要な役割を担っています。
たった5人のトップスターになるには、狭き門である宝塚音楽学校に合格し、さらにさまざまな条件をクリアしなければなりません。これからも憧れと尊敬の念を持って応援したいものですね!