宝塚歌劇団には5つの組がありそれぞれにトップスターが存在しています。宝塚のトップスターとは、宝塚歌劇団の頂点に立つ男役のことをいいます。
過去のトップスターさんの中には天海祐希さんや大地真央さん、真矢みきさんなどがおり、現在も芸能人で輝かしく活動されていらっしゃいます。
現在では約400名の生徒が在籍している宝塚歌劇団で、たった5名のトップスターをどのようにして決定しているか気になったことはありませんか?
「人気があればトップスターになれるの?」
「在籍年数が長いとトップになれるチャンスがある?」など
宝塚トップスター決定の疑問についてお答えします。
宝塚トップスターの決め方は?
宝塚トップスターの決定は人事内部で決定されていることなので詳細は公開されていません。
ファン投票やオーディションなどではない事は明らかで、人気や実力などを総合的に判断して、劇団のプロデューサー陣が決めているようです。
その他にもその生徒の経歴が判断材料となります。その判断材料として挙げられているのは新人公演での主演経験、バウホールでの主演、宝塚大劇場以外の劇場での主演が挙げられます。
なぜこれらの主演経験が必要なのかを解説します。
新人公演の主演
宝塚大劇場と東京宝塚大劇場で行われている公演には、本公演と新人公演が存在しており新人公演は研究科7年以下の生徒が出演しています。
新人公演、通称「新公(しんこう)」では生徒の成長の度合いが1番評価される場所のため、この公演で主演をすることはトップスターへの道が開けることを意味します。
そんな宝塚の生徒にとって大切な新人公演の配役の決め方が気になった方は、こちらの記事をお読みください↓
本公演で上演されている役を新人の生徒たちが行うので非常に緊張する公演だと思いますよ。
新人公演は東京と宝塚で1回ずつ計2回のみの上演となります。
バウホールの主演
宝塚バウホールとは、宝塚大劇場の敷地内にある500名ほどが収容できる小さな劇場のことです。
新人発掘のためのワークショップなどが上演されるのと同時に、新人演出家が作品を発表できる場でもあります。
また中堅スターの主演作品も披露されるので、宝塚歌劇団の生徒にとってはチャンスを与えてもらえる劇場と言えます。
バウホールでの主演は1つのカンパニーの座長を務めることを意味しており、出演者をまとめると言う経験を新人ながらすることができます。
歴代のトップスターの中でも、「バウホールでの主演経験が貴重であった」と発言している人も多いようです。
東上の主演
「東上」とは、文字通り東に上る公演のことを意味し、日本青年館、国際フォーラム、赤坂ACTアター、KAAT神奈川などの劇場で主演することを指します。
これらの劇場で主演をする事は、宝塚を離れても集客できるほどの実力があると評価されるため、トップスターになるための条件とされています。
宝塚のトップスターには、これら3つの条件をクリアして初めてなれるものなのです。
トップスターに問われる5つの実力
トップスターになるための素質として、ダンス・男役としての魅力・歌唱力・華やかさ・演技力が備わっていなければなりません。
ダンスや歌、演技力などは努力すればある程度成長するかもしれませんが、男役の魅力華やかさなどが生まれ持ってのものなので、努力して身に付くものではないでしょう。
元月組トップスターの天海祐希さんは、宝塚音楽学校に入学した時からその魅力が歌劇団から大きく評価され、審査員の先生から「生まれてきてくれてありがとう」と言われたほどです。
私もすみれ売りの時に初めて天海祐希さんのことを見かけましたか、まだ宝塚音楽学校に入学したばかりなのにそのオーラは目を見張るものでした。
その他のトップスターさんも天海祐希さんのように何かしらの特筆すべき魅力を備えていたのかもしれませんね。
組替えもスターになれるチャンス
宝塚歌劇団には5つの組があり、各組には80名の生徒が在籍しています。劇団側では各組の人気の実力を均等化するために時々組替えを行います。
まるで学校のようなこのシステムですが、組替えを発表される生徒のほうもやはり学生時代と同じような思いなのではないでしょうか。
この組替えには、やはりメリットとデメリットがあります。
メリットとしては「番付け」が上がる可能性があること。つまりこれまで組の中での位置付けが3番手だった人は2番手に、2番手だった人はトップスターになれるかもしれないのです。
そしてデメリットは、やはり慣れ親しんだ組を離れると言うこと。組替えは何度もあるものではないだけに、生徒によっては10年以上も在籍した組を離れなければならない場合もあります。
歴代トップスターの組替え
トップスターとして活躍してきた生徒も、何人かは組替えを経験しています。
組替えを経て、トップスターになれたのでやはり組替えはある意味チャンスなのかもしれませんね。
これまでに組替えを経験してきた歴代トップスターをご紹介します。
真飛聖:星→花
蘭寿とむ:花→宙→花
明日海りお:月→花
蘭寿とむさんのように花組をいちど離れてから、また再び花組に戻りトップスターになると言うパターンもあります。
とても珍しいケースだとは思いますが、このような例を見ると組替えが発表されても、もしかしたらまた戻って来られる可能性もありそうですね。
娘役トップはどうやって決めているの?
娘役のトップスターは男役のそれとは違い、男役トップスターからの指名があり抜擢される場合があります。
このことを見ても宝塚歌劇団と言うのは男役社会なのだなぁと思ってしまいますよね。
これまでに男役トップスターからの指名によって娘役トップになった生徒をご紹介します。
ひびき美都:大浦みずきさんからの指名
黒木瞳:大地真央さんからの指名
蒼野夕妃:霧矢大夢さんからの指名
いずれの娘役も比較的若い時代に抜擢され娘役トップスターになっています。このような娘役トップスターは、男役トップスターと同時期に退団するケースが多かったため、宝塚在籍期間は非常に短いものになってしまうのがデメリットです。
もちろん希望すればそのまま在籍することも可能です。最近では男役トップスターが退団してしまってもそのまま宝塚に在籍し続ける娘役トップスターも出てきました。
その例として、元月組の麻乃佳世さんは涼風真世さんの相手役と天海祐希さんの相手役と、二代にわたって娘役トップスターを務めています。
トップスターは何歳でもなれるの?
男役トップスターになるまでには10年かかると言われています。そのため平均で10〜13年あたりでの就任が多いようです。
宝塚音楽学校への入学年齢が15歳から18歳と考えると、推定30代前半でトップスターに選ばれる人が多いのでしょう。
これまで最年少で就任したのは天海祐希さんで研究科7年目の時。その次に早かったのが珠城りょうさんで入団9年目となっています。
逆に最年長での就任は北翔海莉さんの入団18年目となります。
宝塚トップスターの任期は決まっているの?
宝塚トップスターに就任してから退団までの時間は自分で決めることができます。ただし、人気や結果が伴わなければ退団せざるをえない状況に陥る場合があります。
また、退団したいと思っても劇団側に引き止められる可能性もあります。
任期は決まっていませんが、人によっては退団する時期を自由に決められないケースが出てくるようですね。
これまでの任期最長と最短が知りたい!
最近の男役トップスターの任期は長くても5年から7年ですが、第1期ベルばら時代には長きにわたってトップスターであり続けた人が多かったんですよ。特にベルばら4強と言われていた方たちは長い間人気を博していました。
例えば春日野八千代さんの再来と言われた榛名由梨さんは9年、鳳蘭さん、汀夏子さん、安奈淳さんも8年間トップスターとして活躍されていました。
先ほどもお話に出てきた春日野八千代さんにいたっては約20年間トップスターの座についていらっしゃいました。
それほど長い間トップとして組をまとめるのは大変なことだと思いますよ。
男役トップスタートして任期が短かったのは元花組の匠ひびきさん、下雪組の絵麻緒ゆうさん、元宙組の貴城けいさんです。
3人とも本公演(宝塚大劇場・東京宝塚劇場での公演)は1作のみ。期間としては7ヶ月というスピード退団でした。
娘役トップスターで短かったのは元雪組の紺野まひるさん、元宙組の紫城るいさんで、それぞれ男役トップスターとともに就任し、退団も同時期です。
まとめ
宝塚トップスターも一般の企業と同じように人事会議が行われ、その生徒の任期や実績などを考慮した上で決定されると言うことがわかりました。
もちろん中には首をかしげるような人事があることも否めませんが、それは一般企業も同じなのではないでしょうか。
すべては宝塚歌劇団存続のための人事ですので、私たちファンはただ見守るだけしかできません。
それでもこれまでにトップスターになった方たちはどなたも素敵な方ばかり。素晴らしい舞台を見せてくれることに違いはないでしょう。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。