雪組公演『ボー・ブランメル〜美しすぎた男〜/Prayer〜祈り〜』は、トップスター朝美絢さんとトップ娘役夢白あやさんの退団公演として大きな注目を集めています。
美学を極めた男の美しさと孤独、そして真実の愛を貫いた一組の物語。
さらにショーでは、雪組が全身全霊で踊り尽くす“総力戦の祈り”が広がり、客席まで巻き込む熱量に心が震える方も多いはずです。
この記事では、ブランメルという男の魅力、夢白あやさんのラストヒロインとしての輝き、雪組キャストの熱演、ショーの見どころ、そしてチケットの取り方の目安まで、初めての方もリピーターの方も読みやすくまとめています。
あなたの観劇の予習・復習のお供になれたら嬉しいです。
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雪組『ボー・ブランメル〜美しすぎた男〜』観劇レポート
雪組公演『ボー・ブランメル〜美しすぎた男〜』は、とにかく世界観の美しさと物語の深さにぐっと引き込まれる公演でした。
華やかさに目を奪われつつ、物語が問いかけてくる「美しさとは何か」というテーマがじわじわ胸に残って、観終わったあともしばらく余韻が続くという感じですね。
朝美絢さんは、見た瞬間に息を呑んでしまうほどの美しさで、ブランメルという人物の孤独やプライドも丁寧に表現されていて、ただただ魅了されました。
一方、夢白あやさんは退団公演ということもあり、登場する度に空気がふわっと明るくなるような存在感で、儚い美しさが本当に印象的でしたね。
雪組全体のお芝居にも厚みがあって、娘役さんたちの熱量や、若手の皆さんの活躍が作品をしっかり支えていました。
華やかで美しくて、それでいて深さもしっかりある、本格ミュージカルとして大満足の舞台だったと思います。
美意識×虚飾の世界観
作品全体が“美しさ”と“歪み”のあいだを揺れるような、不思議な緊張感に包まれていました。
開幕から舞台が斜めに切り取られたダッチアングルの構図で始まるので、「あ、この世界はちょっと普通じゃないぞ…」という気配が最初から漂ってくるんです。
ロココの夢と呼ばれるコロスの存在感も独特で、華やかな衣装なのにどこか不穏で、見ているこちらに静かなざわめきを残すような雰囲気がありました。
衣装が左右で男性と女性に分かれているのも視覚的に面白く、“美”が偏っていくような印象を与えます。
そのなかで、ブランメルだけがすっきりとした上品な装いを貫いていて、周りの豪華さとの対比がとても美しく、“これが彼の美学なんだ”と一目で感じ取れるのがすごいところです。
ラストシーンの純白の衣装は、本当に息をのみました…。観た方はきっと「わかる…!」って頷いてくださるはずです!
ワイルドホーン楽曲と舞台美術の魅力
フランク・ワイルドホーン氏の音楽が、作品の世界観にぴったり合っていてとても素敵でした。
ドラマティックで耳に残るメロディが多く、気付けばずっと聴き入ってしまうような心地よさといっても過言ではありません。
歌詞の中にストーリーの大事な部分が込められている曲もあって、音楽が物語としっかり結びついているのが印象的。曲の流れに自然と感情が引っ張られていくので、観ている側としてはとても没入しやすかったです。
舞台美術も本当に美しくて、セリや盆を使った場面転換がなめらかで、気付けば次の世界に引き込まれてしまっていました。
衣装・装置・照明、それぞれのクリエイターさんのセンスが合わさって、まさに作品全体がひとつの美しい空間として成立しているような印象です。
公演時間・雰囲気の紹介(初心者向けにも◎)
『ボー・ブランメル』は、宝塚らしい華やかさと奥行きのあるドラマが絶妙なバランスで混ざり合った、本当に観やすい作品です。
そのため、宝塚が初めての方でも楽しめると思いますし、むしろ“宝塚ってこんなに素敵なんだ!”と感じてもらえる公演だと思います。
英国王室を舞台にした豪華な世界観、美しい衣装、恋や野望が絡むドラマ…まさに「これぞ宝塚!」という魅力がしっかり詰まっています。
シリアスなお話ではありますが、朝美絢さんと夢白あやさんのお芝居がしっかり導いてくれるので、難しさを感じないままストーリーに入り込めますよ。
幕が上がった瞬間の気品ある雰囲気は、本当に素敵で…。オペラグラスで見惚れているうちに次の場面になってしまうような“美の暴力”があちこちにあります。
宝塚ファンの方はもちろん、本格ミュージカルがお好きな方にも胸を張っておすすめできる公演です。
朝美絢さんの魅力が詰まった「anan」見ました?
『ボー・ブランメル 美しすぎた男』あらすじ
ここでは、『ボー・ブランメル 美しすぎた男』のあらすじを紹介します。
主人公ブランメルの背景
物語は、主人公ジョージ・“ボー”・ブランメルの幼い頃の記憶から始まります。
彼はもともと貴族ではなく、父が上流階級に仕えていたことでかろうじて「その世界の端」に触れられるような環境で育ちました。
幼いブランメルにとって、父の存在は夢を与えてくれるものではなく、むしろ“重荷”そのもの。父は身分の差に対する強い憧れと劣等感にとらわれていて、それを息子に押しつけながら生きていました。
「もっと上へ行け」「身分の壁を越えろ」という圧力は、彼に希望よりも恐怖やプレッシャーを植え付けたように見えます。
そんな環境のなかで育ったブランメルは、「美しくあること」こそが自分の生きる武器であり、唯一の道だと信じるようになっていきます。
その信念が、彼の人生を前へと強く押し出していくんです。
社交界での台頭
青年になったブランメルは、生まれ持った美的センスと軽やかな話術を武器に、ロンドンの社交界へ挑みます。
過剰な装飾が好まれていた時代にあって、彼だけが“すっきりと洗練された装い”を貫き、逆にそれが新鮮だと評価されるようになります。
そして大きな転機となるのが、プリンス・オブ・ウェールズとの出会いです。
プリンスは、飾らず、しかし遠慮もせず、ファッションにまで口を出すブランメルの姿を「面白い」と感じ、彼を側に置くようになります。
これによりブランメルは、一気に社交界の頂点へ駆け上がっていきました。
ただ、その成功は輝かしいだけではありません。
その裏には“父から受け継いでしまった孤独”や“自分を偽って生きる痛み”がゆっくりと積み重なっていきます。
華やかな社交界の中でも、ブランメルはどこか孤独で、いつも完璧な姿を保ち続けなければならない状況に追い込まれているように見えます。
ハリエットとの出会い
そんなブランメルの前に現れるのが、かつて愛し合った女性、ハリエット・エリオットです。
二人は学生時代に純粋な恋をしていましたが、ブランメルは“ジョージ”だった過去の自分を捨て、突然ハリエットの前から姿を消してしまいました。
どちらも想いを抱えたまま別れたまま、大人になってしまったんですね。
再会したハリエットは、女優として成功し、プリンスの愛人として社交界に生きる女性になっていました。
最初は互いに距離を保とうとしますが、抑え込んでいた気持ちは簡単には消えません。
再会のあと、二人の心には“あの頃の恋”が静かに戻ってきます。
プリンスの存在があるため、軽い気持ちでは踏み込めないのですが、どちらも忘れたふりができないほど、大切な存在だったというのが、観ていて伝わってきます。
ネタバレを避けつつ言うなら、この再会から物語は“危うい光”を宿し始めるような感覚があり、後半への伏線がじわっと漂い始めます。
朝美絢が演じる“美しすぎた男”ボー・ブランメル
この作品の核となる主人公・ボー・ブランメルの魅力からご紹介します。
朝美絢さんが体現した“美しすぎた男”は、美貌だけでなく、孤独や父の呪縛まで背負った奥深い人物像でした。
彼女がどのようにブランメルの美学を築き上げたのか、芝居・歌・役作りの側面から掘り下げていきます。
朝美絢の圧倒的な美学
朝美絢さんが舞台に立った瞬間、「あぁ、これが“美しすぎた男”なんだ…」と思わず息を呑んでしまいました。
どの場面でも完璧に整った佇まいで、身嗜みを崩さない姿が本当に美しく、ブランメルという人物の美学そのものに命が吹き込まれていたように感じます。
朝美さんのブランメルは、ただ外見が綺麗なだけではなく、立ち姿ひとつ、手の角度ひとつに“気品”が宿っていました。
ダンスの軸もぶれず、抜け感があるのに芯が強く、何気ない動きすら美のラインを描くようで、つい目で追ってしまうんです。
社交界の華やかな貴族たちが豪奢な衣装をまとう中、ブランメルだけがすっきり洗練された衣装を着ていることで、物語の中でも“美しさの基準そのもの”として光って見えました。
キザでどこか高慢なのに、嫌味がない。むしろ芸術作品のようで、観ている側を惹きつけずにはいられない存在感でした。
観た方はきっと「わかる…!」と頷いてくださると思いますが、朝美さんのブランメルは、本当に“美”が生きて動いているような、唯一無二の説得力がありました。
「孤独」「父の呪縛」「虚栄の崩壊」の表現
朝美絢さんのブランメルは、美しく華やかである一方、どこか壊れやすいガラス細工のような繊細さも同時に感じられました。
幼い頃から父に押し付けられた階級への執着や、“上へ行かなければならない”という呪縛が、ブランメルの人生の影となってつきまといます。
成功したあとでも、父の残した傷は消えず、舞台上でときどき現れる“幼い自分”や“父の亡霊”が彼の内側の弱さを語っていました。
朝美さんは、この“傷を抱えた心の奥”を、目の表情や声の震えで丁寧に表現されていました。
完璧に整えた姿で社交界に立つブランメルが、ふとした瞬間に見せる陰り──そのギャップに胸が締めつけられるようでした。
終盤に向かって虚偽の輝きが崩れ落ちていく場面では、朝美さんの歌声がさらに熱を帯びて、ブランメルの孤独と決意が強く伝わってきました。
愛する人を守るために自ら破滅を選ぶシーンは、観客の心を打つ一番の山場で、その場面の緊張感と切なさは忘れられません。
そしてラストの“純白の衣装”。
落ちぶれたはずなのに、彼がまとう純白は、むしろ浄化されたような美しさを放っていて、まさに神々しいという言葉がぴったりでした。
舞台を観た方の多くが「この瞬間が忘れられない」と語る理由がよくわかりました。
作品の核に触れる深いレビュー
朝美絢さんのブランメルが素晴らしいのは、単に美しいとか、お芝居が上手いとか、そういう一言では収まらないところです。
ブランメルという人物を通じて作品が問いかけてくる「人は何によって美しくなれるのか」
というテーマが、朝美さんの演技によってより深く胸に刺さるようになっていました。
ブランメルは、成功を手にしていく過程でも、ずっと孤独と戦っています。
“美”という鎧をまといながら、それに縛られ、その美学が最後には彼自身を追い詰めていく、そんな矛盾や苦しさを、朝美さんは繊細かつ大胆に表現されていました。
そして、最終的に彼が選ぶのは、“名誉”や“勝利”ではなく、愛する人の未来を守るための犠牲と、美学の貫徹。その結末は爽快ではないのに、不思議と美しく、観客に深い余韻を残します。
だからこそ多くの方が、「これは間違いなく朝美絢さんの代表作になる」と感じているのだと思います。
朝美さんの芝居が引き出したブランメルの深みのおかげで、作品そのものが“美とは何か、愛とは何か”を語りかける名作へと昇華していました。
夢白あやのラストヒロイン:純真と儚さを体現するハリエット
夢白あやさんにとって最後の大舞台となったハリエット。
清らかで儚い“光”のような存在感が、ブランメルの物語を優しく照らしていました。
このセクションでは、退団公演ならではの象徴的な場面や、ハリエットという女性の愛の深さを中心に、彼女の魅力を丁寧に振り返ります。
夢白あやの集大成
『ボー・ブランメル』のハリエットは、まさに夢白あやさんの集大成だな…と感じる役でした。
社交界のきらびやかな世界の中で、ただひとり「真実の愛」を体現するような存在で、舞台のどこにいてもふんわりと光をまとっているように見えるんです。
退団公演という特別なタイミングだからこそ、その一歩一歩や、ふとした表情のひとつひとつに “この瞬間を大切にしているんだろうな…” という想いが伝わってきました。
お芝居に関しても、夢白さんの強みが存分に発揮されていました。
歌を“技術”として聴かせるタイプではなくても、言葉に込める感情の乗せ方がとても上手で、「演技としての歌」が心にすっと入ってきます。
社交界で生きるための仮面をつけたハリエットと、本当の気持ちを押し殺している内側のハリエット。その二つを行き来する表情や声色の変化が細やかで、見ていて思わず胸がきゅっとなりました。
間近で観劇された方が「肌が陶器みたいだった」と言いたくなるのも分かるくらい、ビジュアル面でも完成されたラストヒロインではないでしょうか。
白い衣装・赤いバラ・銀橋など象徴的場面
印象的な場面といえば、やはり白い衣装と赤いバラ、そして銀橋ですよね。
白いドレスをまとった姿は、社交界の虚飾とは少し距離を置いた、ハリエットの純粋さそのもののようで、本当に息を呑む美しさでした。
物語のクライマックスで、赤いバラの花束を抱えて銀橋を渡っていく姿は、まさに「儚い光」という言葉がぴったりで、退団公演という現実と、ハリエットの物語がきれいに重なって見えた瞬間でもあります。
ショー『Prayer〜祈り〜』でも、真っ白な衣装でのデュエットダンスがあり、朝美絢さんと並んだ“天上の舞”のような姿は、このトップコンビでしか到達できなかった景色だなと感じました。
ブランメルとの愛の物語の深掘り
ブランメルとの関係性も、とても切なくて愛おしいものでした。
ハリエットが愛しているのは、社交界のスター「ボー・ブランメル」ではなく、昔、芝居小屋で出会った“ジョージ”としてのブランメル。彼女は、捨てられたと思いながらも、心のどこかでずっと彼を想い続けていたように見えます。
再会してからも、プリンスの存在や身分の差がある中で、簡単に「好き」と言える関係ではないのに、それでも視線や沈黙の間合いで愛情がにじみ出てしまう…その抑えきれない感情の揺れを、夢白さんはとても自然に演じていました。
ブランメルが最後に選ぶ自己犠牲のかたちも、ハリエットの存在があってこそ、あの美学にたどり着いたのだと思わせてくれます。
サヨナラ感を届けるクライマックスレビュー
そして、退団公演としての“サヨナラ感”がぎゅっと詰まっていたのが、ショー『Prayer〜祈り〜』のフィナーレでした。
赤いドレスに黒いハットという大人っぽくて華やかな衣装で、銀橋をひとりで渡りながら歌う姿は、もうそれだけで胸がいっぱいになります。
「最後の言葉伝えます 心を込めてGood Bye」と、手でハートを作りながら歌う場面も、しんみりしすぎず、夢白さんらしい明るさと優しさがにじむ、とても素敵な演出でした。
パレードでは、「大好きな場所に別れを告げる今 微笑んで未来へ」といったニュアンスの歌詞が添えられ、夢白さん自身の気持ちとハリエットの物語が、そっと重なっていきます。
パステルカラーのマーメイドドレスも本当に似合っていて、「最後の最後まで、こんなに綺麗でいいの…?」と思ってしまうくらいの美しさでした。
観終わったあとは、「ハリエットとしての彼女」と「トップ娘役・夢白あや」としての彼女、そのどちらにも「おつかれさまでした」「ありがとう」と伝えたくなるような、あたたかくて切ないラストヒロインだったと思います。
雪組キャストの魅力:瀬央ゆりあ・華純沙那・音彩唯ほか
雪組のすごさは、トップコンビだけでは語りきれません。
脇を固めるキャストの演技力があってこそ、この濃密なドラマは成立しました。
専科の瀬央ゆりあさん、怪演が光った華純沙那さん、存在感を放った音彩唯さん、さらに若手たちまで、作品を支えた“雪組の層の厚さ”をご紹介します。
プリンス・オブ・ウェールズ(瀬央ゆりあ)の熱演
専科から出演した瀬央ゆりあさんが演じるプリンス・オブ・ウェールズは、ブランメルの人生において欠かせない存在です。
最初は着飾ることと恋にうつつを抜かす気分屋の“英国版バカ殿”のような人物として登場しますが、瀬央さん自身の美しさがそのキャラクターに説得力を持たせていました。
ブランメルの毒舌すら“新鮮で面白い”と受け取ってしまう殿下の無邪気さや、信じていたハリエットとブランメルの裏切りに気づいたときの怒りと哀しみの爆発…その感情の振れ幅がどれも丁寧で、観ていて胸がぎゅっとなります。
終盤で、ブランメルを憎みきれず、それでも手を差し伸べられない殿下の葛藤は、瀬央さんの芝居だからこそ伝わる“深い切なさ”がありました。
ショー『Prayer〜祈り〜』では、音彩唯さんとの組み合わせが多く、二人で魅せる巡礼路のシーンも印象的。さらに朝美さんの誕生日公演で、上手で手を振ってお祝いしていた一コマは、ファンにはほっこりする瞬間でした。
デボンシァ夫人(華純沙那)の怪演と存在感
華純沙那さんが演じたデボンシァ公爵夫人は、勢い・迫力・演技の厚み、すべてが揃った“怪演”と呼びたくなるほどの強烈な存在感でした。
元プリンスの愛人としてのプライド、大人の女性としての余裕、そしてハリエットへの嫉妬…その三つが絶妙に入り混じり、舞台に立つだけで空気が変わるほど。
ハリエットを追いつめる場面の緊迫感は、本当に鳥肌もの。冷たさと計算高さの奥にある哀れさまで伝わってきて、彼女のキャラクターをただの悪役にしない深さがありました。
新公学年とは思えない発声の強さ、セリフ回しの巧さ、存在感の大きさ──どれをとっても見事で、今回のMVPに挙げたくなるほどの輝きでした。
キャロライン皇太子妃(音彩唯)の貫禄
次期トップ娘役の音彩唯さんが演じたキャロライン皇太子妃も、作品全体をぐっと引き締める“強さ”と“気高さ”を兼ね備えた役どころでした。
結婚早々プリンスに放置されているにも関わらず、自分の価値と立場を冷静に把握し、トーリー党と対等に渡り合う姿は本当にカッコいい。
特に駆け引きの場面で見せた歌唱力の強さは圧巻で、“次期トップ娘役としての覚悟”すら感じさせました。輪っかドレスのビジュアルも抜群で、その場に佇むだけで視線を奪われる美しさ。
ショーでは、可憐さと力強さを行き来する歌声を披露し、朝美さん&夢白さんとのデュエット場面も華やかさ満点でした。
若手(縣千・華世京・愛陽みちなど)の躍進
雪組の若手たちも、それぞれがしっかり存在感を示していました。
● ヘンリー・ピアポント(縣千)
貴族らしい冷徹さと、どこかブランメルを“見下しているのに放っておけない”不思議な距離感が絶妙でした。
初日付近ではスノッブ感が強かったものの、公演を重ねると友情がちらりと見える柔らかさも加わり、キャラクターの深みが増していきました。
ロック調のナンバーを熱く歌い上げた歌唱力もさらに進化していて、頼もしさがぐっと増した印象です。
● ロバート・ジェンキンソン(華世京)
芝居小屋のウサギ姿は、かわいさとインパクトがずるいほど(笑)。耳がぴょこぴょこ揺れるたびに目を奪われつつ、ダンスは安定感抜群。その後の議会シーンでは新公学年とは思えない落ち着いた芝居で、大人の役をしっかり成立させていました。
ラスト付近でハリエットを支える場面もさりげなく印象に残ります。
● ウィリアム・ブランメル(諏訪さき)
物語全体を決定づける“父の呪縛”を担う役。狂気すれすれの上流階級への執着を、圧倒的な歌声と深い芝居で表現していました。
彼がいることで、ブランメルが抱える心の傷の“重さ”がより鮮明になる重要な存在でした。
● リトル・ジョージ(愛陽みち)
父の威圧に気圧されながらも必死に立ち向かおうとする姿が胸に迫り、子ども役とは思えない繊細な演技でした。
指先まで美しく、息遣いも丁寧で、ブランメルの幼少期にしっかり説得力を与えています。
『ボー・ブランメル』新人公演レポート
今回の新人公演で主演を務めたのは、109期の律希奏さん。
本公演では「ロココの夢」の一員として独特のメイクと半パン半ドレスの象徴的な衣装で踊っていた彼女が、新公ではボー・ブランメルという大役に挑んだ形になります。
新公主演に抜擢されたという事実だけでも、今後の雪組を担っていく存在だと感じさせられます。
また、新公を観たことで、物語の導入や主人公ジョージのバックボーンの深さが改めて理解できた、という声も印象的でした。
本公演では朝美絢さんの登場を引き立たせるために短く感じた導入部も、実はブランメルという男の原点を示す大切な部分だった──その“気づき”を与えてくれたのが新人公演だったようです。
本公演との違い
新人公演を観たことで、「あ、ここはこういう意味だったのか…」という理解が深まったという感想が寄せられていました。
特に大きかったのは、 “ブランメルの人格形成”としての冒頭パートの重要性 に気づけた点。父親ウィリアムから叩き込まれた階級社会への執着、幼いジョージが抱えた恐怖と孤独…こうした背景が、新人公演ではよりストレートに伝わりやすく、本公演の理解を補完する形になったようです。
本公演ではトップスター朝美絢さんの登場に合わせたテンポ感で進むため、導入が少し短く感じる方もいた一方、新公は“原作の骨組み”がくっきり浮かび上がり、脚本の本質がすっと沁みてくる構造だったのかもしれません。
若手の成長ポイント
雪組は若手の層が厚いのが魅力ですが、今回の本公演でも新公学年の生徒たちが大活躍でした。
● 華純沙那(デボンシァ公爵夫人)
妖艶で冷たい女傑を圧倒的説得力で演じ、MVP級の活躍。
“ずるさ”と“哀れさ”を両立させる芝居は「新公学年とは思えない」の一言。
● 音彩唯(キャロライン皇太子妃)
次期トップ娘役の名に恥じない気高さと歌唱力。
ありえないほど“皇太子妃としての貫禄”が自然で、将来が約束された存在感でした。
● 縣千(ヘンリー・ピアポント)
最大の成長ポイントは歌唱力。
ロック調ナンバーも熱く歌い上げ、貴族の冷たさと友情の揺れを丁寧に表現。
● 華世京(ロバート・ジェンキンソン/芝居小屋のウサギ)
可愛いウサギ姿からの大人の議会シーンまで、振れ幅が広い!
“新公学年とは思えない落ち着き”と“確かなダンス力”でしっかり存在感を残しました。
● 愛陽みち(リトル・ジョージ)
指先まで完璧な“子役芝居”。
父への怯えと苦しみを繊細に演じ、ブランメルの原点を支える大切な存在でした。
● 音綺みあ(ロココの夢)
109期首席としての安定感。
ロケットでのピックアップも含め、今後の活躍が楽しみな実力派です。
将来性のある生徒の紹介
今回の本公演で特に「将来が楽しみ」と期待を集めたのはこのメンバー。
- 華純沙那
→ 演技の幅が広く、娘役としての武器が多い。芝居で魅せるタイプ。 - 音彩唯
→ 次期トップ娘役。歌・気品・存在感の三拍子が揃い、すでに完成度が高い。 - 縣千
→ 歌唱力の向上が顕著で、男役スターとしての風格が増してきた注目株。 - 華世京
→ よく目が合うタイプのスター性。芝居も踊りもバランスが良く、今後のポジションが楽しみ。 - 愛陽みち
→ 子役ながら“芝居で魅せる”タイプ。若手娘役としてこれから一気に伸びそう。
雪組は若手の個性が豊かで、それぞれが“ピース”として物語に不可欠な存在になっていました。
ショー『Prayer〜祈り〜』レビュー(客席降り・名場面まとめ)
お芝居の余韻をそのままに、一気に世界が広がるショー『Prayer〜祈り〜』。
雪組全員が踊り、叫び、祈り、観客を巻き込むエネルギーに溢れていました。
このセクションでは、特に人気の場面や、忘れられない“客席降り”の興奮、そして夢白あやさんへのサヨナラが込められたフィナーレをまとめます。
世界巡礼の構成
『Prayer〜祈り〜』は、その名の通り“祈り”をテーマに、世界をぐるっと巡る構成になっていました。
冒頭の荘厳な音楽から始まり…と思ったら、すぐにロックへと転調して一気にテンションが跳ね上がります。この時点で「え、楽しい予感しかしない…!」となるやつです。
太陽神、チリ、ヨーロッパ、アフリカ、日本、韓国と、場面ごとに文化や祈りの形が変わり、雪組生がジャンルを超えて踊り倒す“総力戦ショー”。とにかく最後までずっと楽しい、アゲアゲのショーでした。
日本の祈り・海の祈りなど人気シーン
日本の祈り
第5章「日本の祈り」は、いわゆる中詰めの大盛り上がりゾーン。紅白のお衣装で、新年っぽいおめでたい華やかさがあり、年跨ぎ公演にぴったりの清々しさがありました。
たくさんの雪組生が銀橋を渡っていく景色は壮観で、しっかり踊り込みつつも、一人ひとりの所作が丁寧で、本当に美しかったです。
ここで印象的だったのは、音彩唯さんのギャップ。可憐なビジュアルなのに、めちゃくちゃ力強い歌声で会場をさらっていく感じが最高でした。
海の祈り(韓国)
そして観客の記憶を一気に上書きしていくのが、第6章「海の祈り」。衣装がチマチョゴリやパジチョゴリ風で、韓国の祈りをイメージした場面だとわかります。
なにより…
「オギヨチャ!!!」 の連呼。
これが、とにかくすごい(笑)。
ソーラン節の「どっこいしょ」ぐらいの勢いで叫び続けるんですが、この迫力が忘れられないんです。
朝美絢さんや瀬央ゆりあさんが舟の上から雄叫びをあげ、全身のエネルギーをその場に叩きつけるような熱量。
観客が終演後に「…オギヨチャしか残ってない…」と呟くほどのインパクトで、胸が熱くなる名場面でした。
客席降りの楽しさ
中村一徳先生らしい、“やると決めたら全力!”な総力戦の客席降りも大きな魅力でした。
特に「日本の祈り」の最後は圧巻で、踊って歌って場があったまり切ったところへ、雪組生がダーッと客席に駆け込む怒涛の展開。
しかも驚くべきことに、その間、舞台上には誰もいないという潔さ(笑)。
A席から高校生たちの歓声と喜びの波動がビンビン伝わってきたという感想もあって、本当に“会場一体型”の楽しさがありました。
そして客席降りは夢の時間でもあり…
目の前を瀬央ゆりあさんがすっと通ったり、諏訪さきさんと手を優しく重ねるようにハイタッチできたりと、「はぁ…生きててよかった…」とこぼれそうなエピソードも。
沸騰する会場の熱量が、そのままショーの勢いにつながっていました。
夢白あやのフィナーレサヨナラ場面
そして、夢白あやさん退団公演としての“餞”がぎゅっと詰まったのがフィナーレ以降の構成。
まず感動のピークは、夢白あやさんの単独銀橋渡り。
赤いドレスに黒いハットという、ため息が出るほど美しいお衣装で、「最後の言葉伝えます 心を込めてGood Bye」と歌いながら、手でハートをふわっと作ってくれる夢白さん。
しんみりさせすぎない、“夢白さんらしい明るさ”が滲む素敵な時間でした。
パレードの歌詞も退団仕様で、「大好きな場所に別れを告げる今 微笑んで未来へ」
というニュアンスのフレーズに、思わず涙ぐんでしまう観客も多かったそうです。
そしてラストのデュエットダンスは、真っ白な衣装の朝美絢さんと夢白あやさん、さらに音彩唯さんの伸びやかで美しい歌声が重なりあい、“美×美×美”の奇跡の空間でした。
このトップコンビでなければ生まれなかった景色が、しっかり胸に残るフィナーレでした。
チケット情報:雪組『ボー・ブランメル』の取りやすさ・先行の傾向
「観たいけど、チケット…取れるの?」そんな不安の声が多い今回の雪組公演。
抽選状況や、一般的な宝塚の傾向を踏まえて、先行の難易度、プレイガイドの傾向、そして“ねらい目の公演日”まで、
なるべく現実的で役立つ形でまとめました。
プレイガイドや宝塚の傾向
『ボー・ブランメル』は、トップコンビの退団公演ということもあり、宝塚の公演の中でも高倍率になりやすいタイプの作品です。
- 大劇場では友の会2次で当選した方がいた
- 東京公演の抽選は全落ちしたという声もあった
というように、場所や時期によって“ムラ(ばらつき)”が大きいのが特徴です。
宝塚全体の傾向としては、
- 大劇場のほうが席数が多い=相対的に取りやすい
- 東京宝塚劇場は倍率が跳ね上がりやすい
- 専科スター・話題性の高い演目は特に競争率UP
- トップコンビ退団公演はリピーターが増えやすい
こうした背景が今回もそのまま当てはまっている印象です。
先行/一般の難易度の目安
般的な傾向を踏まえた“目安”はこんな感じです。
⭐友の会先行(最優先)
- 大劇場:当たる可能性は十分ある
- 東京:かなり難しい
友の会は宝塚における“最強ルート”ではありますが、退団関連の作品はどうしても倍率が爆上がりしがちです。
⭐プレイガイド先行(e+ / ぴあ / ローチケ)
- 東京は特に激戦。瞬殺になりがち
- 大劇場は比較的望みあり
- 人気スターの退団公演は、一般的にe+が少し強めと言われがち
(※体感・傾向の話です)
⭐一般発売
- 秒で完売すると考えたほうが安心
- 大劇場はキャンセル拾いが出ることもあるため、発売直後〜公演直前にこまめにチェックする価値あり
⭐最後の砦:ライブ配信
「東京公演は全落ちしたのでライブ配信で楽しむ」という声がありました。
今の宝塚は配信クオリティも高く、退団公演でも安定して楽しめます。
今後の公演日程から見る“ねらい目”
宝塚全体の傾向としては次のような“取りやすいタイミング”があります。
⭐ねらい目① 平日昼公演
学生・仕事勢が動きづらい時間帯なので、一般発売後の“キャンセル戻り”が出やすいのはここです。
⭐ねらい目② 中日(公演期間の真ん中)
- 初日・千秋楽は倍率が跳ね上がる
- 土日はもちろん混む
- 真ん中の平日は、比較的チケットの動きが落ち着く傾向
⭐ねらい目③ 特別な記念日“ではない日”
朝美絢さんの誕生日公演(11月6日)は多幸感がすごかったという情報がありますが、これは裏を返すと誕生日・祝日・記念日は倍率が上がる ということです。
そのため、避けたほうがチケットは取りやすいのかもしれませんね。
⭐ねらい目④ 公演直前の戻りチケット
宝塚は公演直前(数日前〜前日)にしましょう。
- 友の会戻り
- クレカ決済不備の戻り
- プレイガイドの再販
こんな感じで、チケットがドッと出ることがあるため、まめに公式をチェックする人に意外とチャンスがあります。
総評:美学と愛が交差する“究極の美の物語”。朝美絢×夢白あやの集大成
『ボー・ブランメル〜美しすぎた男〜』は、ただの伝記ミュージカルではなく、
「人は何によって美しくなれるのか」
「愛とは、自己犠牲とは、何なのか」
そんな普遍的な問いを静かに突きつけてくる作品でした。
華やかな社交界の衣装に目を奪われながら、ふと心の奥に触れるような切なさが落ちてくる…。
その余韻が、観劇後もじんわり心に残り続けるのだと思います。
朝美絢さんと夢白あやさん。このトップコンビが紡いだ“美学と愛の物語”は、本当に特別でした。
朝美さんは、美しいだけでなく、孤独・執着・父の呪縛まで深く掘り下げたブランメルを熱演。夢白さんは、退団公演とは思えないほど透明感に満ちたハリエットを繊細に演じ、
二人が向き合うたびに、舞台上に“美の臨界点”が生まれたような感覚がありました。
まさに、このトップコンビだからこそ完成した物語。そう確信できるクオリティでした。
この作品がより深みを持った理由のひとつが、雪組全体の芝居巧者ぶりです。
瀬央ゆりあさんの複雑なプリンス
華純沙那さんの凄まじいデボンシァ公爵夫人
音彩唯さんの貫禄ある皇太子妃
縣千さん・華世京さんら若手の存在感…。
誰ひとり欠けても成立しない、濃密な芝居の連鎖がありました。
“トップだけが輝く作品”ではなく「雪組というチーム」全員で完成させた重厚なドラマだったことも、この公演の大きな魅力です。
また、この作品が幅広い層に刺さる理由は、とてもシンプルです。
- 本格ミュージカルとしての楽曲・脚本・テーマの強さ
- 宝塚らしいビジュアル・衣装の華やかさ
- トップコンビの圧倒的ビジュアル&芝居力
- 雪組全体の“舞台を支える力”の高さ
この4つが絶妙なバランスで同居しているから。宝塚ファンはもちろん、
「ワイルドホーン作品が好き」
「人間ドラマをしっかり観たい」
そんなミュージカル好きの方にも、自信を持っておすすめできる一本です。

