宝塚歌劇団の衣装は、その美しさと繊細なデザインに定評があります。ここでは、宝塚歌劇団の衣装に使われる素材や製作にかかる手間、また種類とデザインの特徴について詳しくお伝えします。
宝塚歌劇団とは何か
宝塚歌劇団は日本を代表する歌劇団の一つで、団員は女性オンリーと世界でも稀な特徴を持った劇団です。約100年の歴史を持ち、『ベルサイユのばら』『風と共に去りぬ』『エリザベート』など数多くの名作の舞台作品を上演してきました。
私が初めて宝塚を観たのは『ベルサイユのばら』でした〜しかも初演のやつ(笑)
ショーで使われている衣装は、美しい歌やダンスに合わせて作られており、他の舞台ではなかなか観られないようなものばかりです。
宝塚の衣装には、宝石や刺繍、レースなど、高級素材が贅沢に使われており、一着の衣装を作るためには、職人たちが一つ一つ手作業で製作しています。
衣装の制作費と使い回しの事実は?
宝塚歌劇団の衣装は、その美しさや華やかさ、また、製作過程や歴史など、多くの人々の興味を引く要素が含まれています。そのため、多くの人々が、宝塚歌劇団の衣装について知りたいと思っているのではないでしょうか。
また、宝塚の衣装に込められた意味やストーリーについて知ることで、宝塚歌劇団の世界観に深く触れ、作品に対する理解が深まることも期待できます。
もうこれは芸術品です!一度は着てみたいですよね。
衣装制作にかかるお金は?
昔のテレビ番組で、花總まりさんが出演した『エリザベート』の衣装が一番高額だったとされています。その製作費は、なんと1,000万円もかかったといわれています。しかし、最近の作品でも、同様に1,000万円近くかかる衣裳が存在しているようです。
また、トップスターの羽根だけでも、100~300万円かかるという話もあります。高額な衣裳には、高い技術と素材の使用が必要となります。宝塚歌劇団は、その美しい衣装で有名であり、豪華な舞台美術や演出と合わせて、観客を魅了する作品を創り出しています。
トップスターさんの羽についてはこちらの記事も読んでください↓↓↓↓
衣装は使い回しする?
宝塚歌劇団の衣装は、再利用を前提に仕立てられています。同じ衣装が何度も別の作品に登場することもあります。衣装用の保管庫もあり、衣装は大切に保管されています。公演を観ていると、過去に使用された衣装が登場することがあり、その美しさに感心してしまいます。
使い回しているかどうかはファン歴の長い人でないと分かりません(笑)
昔の衣装には、「オカキ(お書き)」と呼ばれるタグが付いていて、着用した生徒さんの名前が書かれていました。次に着用する人は、以前着ていた人の名前を見て、自分のサイズと合うかどうかの目安にしていたそうです。最近では「オカキ」はバーコードで管理されています。宝塚歌劇団は、歴史と伝統を大切にしながら、時代に合った技術を取り入れています。
憧れの生徒さんが来ていた衣装だったりすると、喜ぶ下級生が多いのだとか
衣装担当者さんのお仕事はこんなにハード
宝塚大劇場の公演では、芝居やショーを合わせると約450~600点もの衣装が使用されます。職員は、着せ替えや整理整頓など、公演中にも衣装のメンテナンスに対応しています。衣装の生地や装飾など、細かい点も確認しています。
・数百点にものぼる衣装の準備
・初日が無事に迎えられるよう入念にチェック
・出演者のスムーズな衣装替えのサポート
上質な舞台になるかどうかは衣装にかかっているといっても過言ではありません。タイトなスケジュールの中でも、高品質な衣装を作ってくださっている衣装担当者さんには感謝ですね!
衣装の制作プロセス
宝塚の衣装は仕様も縫製の仕方も独特なものがあり、80名もの生徒一人ひとりの体型に合ったものを製作しているため、かなりの時間をかけて制作されているはずです。ここでは、宝塚歌劇団の公園で使われる衣装の制作方法について紹介します。
デザインの決定から製作までの流れ
演目の時代背景やコンセプトについて、演出家・脚本家・振付の先生などが打ち合わせをし決定されます。その後の流れとしては以下の通りです。
- デザイン画制作
- 生地の決定
- 衣装制作スタート
- 衣装合わせ
その後、舞台稽古で初めて衣装を着用。問題がなければ本縫いとなり、衣装が完成します。
衣装のデザインや色選びのポイント
宝塚の衣装は、演目にあったデザインが採用されるのはもちろん、舞台上でライトに当たった際、白飛びしないか・全体の色味が合っているかどうかなどもチェックされます。また、動きが不自然になっていたり、耐久性に問題があったりしても手直しの対象になってしまいます。
ゴージャスさを追求しすぎて制作不可なデザインが上がる可能性もあるんでしょうね。
歴史的な衣装の変遷
宝塚歌劇団が誕生した歴史的背景
1913年に設立された宝塚歌劇団は、当時、女性が舞台で演じたり、洋風の演劇上演されたりが一般的ではなかった時代に、女性専用の歌劇団として創設されました。創設以来、美しく華やかな衣装や独特の演劇スタイルを大切にし、多くの変遷を経験しながら現在まで愛され続けています。宝塚歌劇団は、日本を代表する芸術団体の一つとして、その歴史的背景と特色が世界中に広く知られるようになっています。
歴代の作品で使われた衣装の変化
宝塚は男役人気が圧倒的ですが、舞台の美しさは娘役に軍配が上がると感じている方も多いのではないでしょうか。特に洋物と呼ばれる作品にはさまざまなデザインのドレスが登場します。歴史を反映したものが多く、描かれる時代背景も幅広くなっています。
【ルネサンス】
ダヴィンチの時代、ルネサンスという時代において、ファッションの最先端を行く国はイタリアでした。14世紀まではボタンが知られておらず、筒袖は肘から先を脱ぎ着するために度々縫い合わせたり解いたりする必要がありました。また、当時の袖は装飾品的な役割を持ち、取り外したり紐で結んだりすることができ、複数の袖を所持している人も多かった時代でした。
【ロココ】
18世紀のフランスでは、ロココと呼ばれる宮廷文化が大いに栄えました。この時代の衣装には、フランスのリヨンで製造された高級絹織物が使われており、本品にもその贅沢さが見られます。ドレス自体がすでに装飾的な織柄で作られている上に、レース、リボン、造花などの装飾が過剰とも思えるほどたくさん付加されていました。これらの豪華なドレスを身に着けることは、当時の貴族たちにとって一種のステータスとなっていました。
『ベルばら』でお馴染みのドレスラインです!
【エンパイア】
エンパイアスタイルは、ロココスタイルのような豪華な装飾や派手な色使いではなく、女性らしい柔らかな印象を重視するスタイルです。ロココスタイルではウエストを細く見せるためにコルセットを使用し、パニエでスカートを膨らませていましたが、エンパイアスタイルはシンプルなデザインであり、ウエストを自然なラインで表現するのが特徴です。
【ロマンチック】
「ロマンティック・スタイル」とは、19世紀初頭に芸術思潮として興隆した「ロマン主義」において理想とされた、無垢で繊細、妖精のような女性像をファッションに反映させた1820年代から30年代のスタイルを指します。
【クリノリン】
クリノリンが巨大化したことにより、歩行や通路の通過が困難になり、風刺画の題材にもなりました。1850年代には、繊細で可憐な女性らしい特徴を備えたドレスが主流となりました。デコルテが大きく開き、小さな袖が肩を飾り、ウエストラインは切り替え線が下に向かって尖り、スカートはふんわりと膨らんでいます。
『風と共に去りぬ』のドレスですね!
【バッスル】
バッスルスタイルは19世紀のヨーロッパで流行したドレススタイルで、日本でも洋装が広まった頃にはこのスタイルが主流となっていました。このスタイルの特徴は、ヒップを大きく膨らませることでウエストを細く見せることや、女性らしい柔らかな曲線を強調できることなどがあります。
【アール・ヌーボー】
アールヌーボーは、花や植物などの有機的な形を多用した曲線的な柄が代表的なデザインスタイルです。装飾に凝った奥行きのある柄や美しい色彩が特徴であり、自由な曲線を取り入れたデザインは当時革新的なものでした。
衣装の保存方法と噂
宝塚歌劇団で作った衣装は、歴代ほとんどを保管し、着回しをしています。主役級の方の衣装は新品が多いのですが、それ以外では何度も登場している衣装があるのだとか。ファン歴の長い方にはわかってしまうようですが、そうでない方にとってはどれも美しい衣装に見えますよね。ここでは、宝塚歌劇団の衣装の保存方法と、気になる噂について紹介します。
宝塚歌劇団の衣装はどうやって保存している?
宝塚歌劇団の衣装は劇場の何処かに巨大な倉庫があって、温度湿度管理をしているそうです。各組80名ほどの生徒が在籍しており、その全てが衣装を着るわけですから、かなりの数になりますよね。
ずらっと並んだ衣装は圧巻なのではないでしょうか。ファンとしては一度見てみたいものですね。
衣装にまつわる噂
衣装はシミ防止のために香水はもちろん、制汗剤なども使えないそうです。宝塚に限らず、他の舞台でも同じで、たくさんの汗をかいても洗濯などは安易にできない点が悩みだといわれています。
洗濯をしてもズボンやタイツのみ。あとはファブリーズを振りかけて誤魔化しているのだとか。タカラジェンヌといえども人間ですから、体臭や汗はあります。しかもみなさん若いですしね。
白いブラウスの襟がファンデーションで汚れているのを見ると、次の公演が心配になります!
まとめ
宝塚歌劇団の衣装は、1点1点が衣装担当者さんの手作りです。出し物の時代背景などを考慮しながらデザインが作られ、その後仮縫い・舞台稽古などを経て本縫になります。動きやすさ・ライトの反射具合・耐久性などさまざまなポイントをクリアしたものが宝塚大劇場の舞台にお目見えしていると思うと感慨深いですね!